この記事では一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】の標準仕様について解説しています。
一条工務店のフラッグシップ商品【グラン・スマートとアイ・スマート】との違いは以下の通り。
- 意匠性に優れている
- 性能は劣る
- 低コスト
とは言え、【グラン・スマートとアイ・スマート】の性能が良すぎるだけで【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】も十分高性能。
住宅業界で4年働いている私が、一条工務店のホームページを片っ端まで目を通して確認したものを解説します。
他サイトでも『どこよりも分かりやすく解説』なんて書いてありますが、これほど画像を引用して解説した記事は今のところ見当たりません。
恐らく、どのサイトよりも分かりやすいです。
次の章から解説していきます。
一条工務店の【特徴】
標準仕様の前に、一条工務店の特徴を5行でまとめます。
規格化の間取りプランの坪単価 坪60万円〜70万円 (当サイト調査)
100%注文間取りにした場合の坪単価 坪80万円〜100万円 (当サイト調査)
とことん性能にこだわった家づくりをしている
特に規格化プランの価格でこの性能は、他社では真似できない
良くも悪くも、見れば一条工務店と分かる内外装
ざっとこんな感じです。
では、一条工務店【グラン・セゾンとセゾンとセゾンAとブリアールと百年】の標準仕様を解説をしていきます。
一条工務店の【地盤調査】
長年住んでる家が傾いてきてビー玉が転がるとかっていうのは、地盤が弱い土地に家を建ててしまっているからです。
今どきは建てた後に家が傾いたりしないよう、どんな会社も家を建てる土地に対して地盤調査をしています。
ほとんどの会社は地盤調査代として数万円の代金を見積もりに含んでいますが、一条工務店はなんと無料。
必ずかかってくる費用なのに無料というのが、良心的です。
地盤が弱いと判断された場合
もしその調査で地盤が緩いと判断されたらどうするの?
その場合は、地中の地盤がしっかりした層までセメントや鋼の杭を数十本打ち込みます。
地盤補強工事と言います。
杭は2m程度の場合もあれば、10m以上の杭になる場合もあります。
一条工務店の【構造】
一条工務店は性能だけじゃありません。
家の耐震性や台風性、劣化に関わってくる家の構造についてもしっかり考えられています。
布基礎
唯一地面と接している場所。それが基礎です。
基礎という名前からして、家の中でも重要な部分であることが分かります。
その基礎には2種類あります。
- 布基礎
- ベタ基礎
一条工務店の標準は布基礎です。(オプションでベタ基礎の採用も可能です)
地元に根ざした工務店なんかは、よりしっかりしたベタ基礎を標準仕様にしていることが多いです。
一条工務店のような大手ハウスメーカーは、コストダウンのため布基礎を標準にしているケースが多いんですよね。
ただ、一条工務店の布基礎はコンクリート厚や鉄筋の間隔において、比較的しっかりとした作りを心がけています。
下記が一般的な基礎と、一条工務店の基礎との違いです。
【建築工法】
一条工務店が採用しているモノコック構造は、柱と梁を組み合わせた構造の周りに面材を施工した、箱型の構造のことです。
一条工務店に限らず、今普及している建築工法はコレが主流です。
仕組みとしては下記図が分かりやすいです。
柱と梁に面材を打ち付けるのでより固定され、変形しにくくなります。
耐震性はもちろん、耐風性も上がります。
耐震等級
耐震等級は1〜3まであります。
- 耐震等級1・・・震度6強から7に相当する、数百年に一度起こる大地震で倒壊しない程度
- 耐震等級2・・・耐震等級1の1.25倍の倍率の耐震強度。学校や病院などの公共施設は耐震等級2を満たす必要がある。
- 耐震等級3・・・耐震等級1の1.5倍の耐震強度。消防署・警察署などは耐震等級3で建築される場合が多い。
一条工務店の家は標準で耐震等級3をクリアしています。
3は最高等級なので、安心して住むことが出来ます。
防蟻処理(シロアリ対策)
耐震性というと構造部分ばかりに目を向けがちですが、防蟻処理がとても大切です。
どれだけしっかりした工法でも、そもそも柱がシロアリに食われてたら意味ないですからね。
一条工務店の防蟻処理は、木材に薬剤を注入するタイプ。
建築前から木材に薬剤が注入されているので、通常より高い位置まで防蟻処理をすることが出来ます。
一条工務店の【断熱仕様】
一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】が採用している断熱材はEPSボードです。
今住宅業界で一般的に使用されている断熱材は、グラスウールというガラス繊維の断熱材。
それと比較すると、EPSボードの方が断熱性があります。
仮にグラスウールとEPSボードを同じ厚さで施工した場合、家の断熱性は大きな差が出ます。
一条工務店がEPSボードをどのように使用しているか、詳しく見ていきます。
床断熱
主に下からの冷気や暖気をシャットアウトするのが、床断熱。
一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】はエリアによって床断熱材を使い分けています。
Ⅱ地域・・・ウレタンフォーム90mm厚
Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ地域・・・EPSボード90mm厚
※Ⅱ地域 → 青森市 Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ地域 → 山梨市・熱海市・長崎市
より寒い地域の場合のみ、EPSボードよりさらに性能の高いウレタンフォームを使用しています。
ちなみにEPSボード90mm厚の時点で、ほとんどの住宅会社より優れた床断熱です。
一条工務店の断熱性に対しての想いが、こういうところで分かりますね。
壁断熱
主に外気温が室内に伝わらないようにするのが壁断熱。
一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】の壁断熱は、EPSボード120mm厚です。
断熱材は一般的に、柱と柱の間に入れていきます。
柱は多くの住宅会社で105mm角のサイズ。
なので断熱材もMAXで厚さ105mmが一般的ですが、一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】はなんと120mm厚。
一条工務店の断熱性は、こうした他社とは違う工夫から来ています。
天井断熱
主に太陽光の熱や降りてくる冷気をシャットアウトしてくれるのが、天井断熱。
一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】は天井にEPSボード145mmを施工しています。
正直、この部分は微妙です。
天井であれば、200mm程度施工している住宅会社もよくあります。
【グラン・スマートとアイ・スマート】との違いが、このあたりに出てきますね。
性能値は後ほど解説しますね!
一条工務店の窓【トリプル樹脂サッシ】
寒冷地でない限り、一般的な住宅会社はダブルガラスのサッシが標準仕様です。
対して一条工務店は、トリプルガラスのサッシが標準仕様。
空気層が1つ多くなるので、より断熱性に優れます。
上記にいろいろ線を引っ張って説明があります。
1つずつ、分かりやすく解説します。
ツインLow-Eガラス
Low-Eガラスとは、ガラスの表面に金属膜をコーティングしてあるガラスのことです。
通常は金属膜を外側に向けて施工することで、太陽光などの熱を反射する目的があります。
一条工務店のLow-Eガラスはそれに加えて、室内側にもLow-Eガラスを設定しています。
これにより冬の暖房を外に逃さず、高い断熱性を保っています。
アルゴンガス
一条工務店の窓は、ガラスとガラスの間にアルゴンガスが充填されています。
空気とアルゴンガスでは、熱伝導比率が違います。
- 空気・・・0.024W/㎡・K
- アルゴンガス・・・0.016W/㎡・K
上記の値が小さいほど熱を伝えにくいため、アルゴンガスが充填された窓ガラスは断熱性に優れています。
樹脂枠
少し前に建てた家でも、窓ガラスの周りはアルミであることが多いです。
アルミは冬にすごい結露して、カーテンがカビたりするんですよね。
対して、今の時代窓の枠は樹脂タイプが主流です。
もちろん一条工務店の窓の枠も、樹脂です。
アルミよりはるかに熱を通しにくいため、断熱性はもちろん、結露もしにくいです。
一条工務店の熱交換換気システム【ロスガード90】
現代の家は、窓を開けて換気するという考え方ではありません。
せっかく冷やしたり温めたりした空気を逃さないよう、機械で換気します。
一条工務店の熱交換換気システムロスガード90は、名前の通り熱交換効率90%です。
熱交換効率90%は下記イメージ図のように、
外気が0℃で室温が20℃の場合、外気を18℃の空気にして室内に取り入れる
事が出来ます。
もう窓を開けて寒い思いをする必要ないんです!
機械換気のメリットは室温だけではない
窓を開けないとなると、さらにメリットがあります。
機械換気の給気口にはフィルターがついており、花粉やPM2.5をほとんどカットしてくれます。
家の中ぐらいは、花粉症を忘れたいですよね。
一条工務店の【性能値】
一条工務店と言えば、性能ですよね。
性能は間取りやインテリアと違い数値化されるので、比較しやすいです。
一条工務店の【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】を数値で見ていきます。
Q値
Q値・・・熱損失係数
どれだけ熱が逃げにくい家かを表す数値。
この数値が低いほど、熱を損失しません。
一条工務店のQ値は以下の通り。
※Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ地域 → 山梨市・熱海市・長崎市
Q値2.7が次世代省エネ基準レベルとされているので、一条工務店【グラン・スマートとアイ・スマート】の0.51は基準を余裕でクリアしています。
1W/㎡・K以下を出せるハウスメーカーはほとんどないので、このあたりはさすが一条工務店と言わざるを得ません。
C値
C値・・・相当隙間面積
家全体の隙間を集めた場合、どれだけの隙間があるかを表す数値。
C値の数値が低いほど、気密性は高いです。
一条工務店【グラン・スマートとアイ・スマート】のC値は0.61c㎡/㎡です。
家全体でざっとハガキの半分程度の隙間があるということです。
気密性が高ければ、冷暖房された空気が外に漏れません。
C値は1をきると高気密と言われるので、一条工務店は良い数値を出しています。
C値は家の完成後に計測するので、数値が施工精度に大きく左右される項目です。
ここの数値が良いということは、施工の精度が高いとも言えます。
一条工務店の【全館床暖房】
他社がなかなか真似できないのが、この全館床暖房。
廊下やお風呂、トイレにまで床暖房がついているなんて、寒がりにはありがたすぎる。
一条工務店と同価格で全館床暖房を施工できますか?
と聞かれても、他社には真似できないんですよね。
床暖房の特徴は以下の通り。
エアコンの暖房は頭がボーッとする
エアコンは眠くなる
とかって人もいます。
そういった人にとって、床暖房だけで家が温まるのはQOL(生活の質)爆上がりです。
っ
一条工務店の【外装材】
メンテナンス性や家の寿命を大きく左右する外装材。
外壁材と屋根材について解説します。
外壁
一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年】の外壁材は、いくつかの選択肢があります。
例として以下の通り。
- サイディング
- 吹付け
- ブラストタイル
中でも魅力的なのはブラストタイル。
このタイルはオプションですが、50年に1度程度のメンテナンスで良いので最終的にコスパが良いです。
他の選択肢である吹付けやサイディングは、10年〜30年に一度メンテナンスが必要です。
屋根材
一条工務店【グラン・セゾン、セゾン、セゾンA】の標準屋根仕様は、スレート屋根のコロニアルグラッサです。
他の屋根材と比較して安価にも関わらず、30年程度メンテナンスフリーでコスパの良い屋根材です。
一条工務店【ブリアール、百年】に関しては、恐らく瓦屋根が標準です。
一条工務店の【設備機器】キッチン・風呂・洗面台
ここからは家の設備関係。
もう読むの疲れた
って人はここで一旦ブックマークかホーム画面に追加でもして、コーヒー休憩取ってください。
コーヒー休憩終わったら、キッチンから解説します。
キッチン
一条工務店のキッチンは、オリジナル商品です。
正直突出した魅力は感じられませんが、他社製品と比べて劣っていると言うこともないです。
そんな中でもメリットは、いろんなタイプが選択できるという点です。
下記の赤いキッチンのステップカウンターが人気です。
子どもが勉強するところを家事しながら見ることができる!
と、子育て世代に評判です。
風呂
お風呂も一条工務店のオリジナル商品です。
世の中の9割は1坪タイプのお風呂が標準ですが、一条工務店は1.25坪が標準。
浴槽の大きさは変わりませんが、洗い場の広さが段違いです。
1.25坪タイプは1坪タイプと比較してだいたい40cmほど、洗い場が広くなります。
子どもと一緒にお風呂に入るときなんかは、広いほうが洗いやすいですよね。
お手入れも楽
さらにお手入れまで考えてくれているのが、一条工務店のお風呂。
ブラインドが窓の中にあって、ホコリがたまることがない。
最高ですね!
ただ、壊れたときに自分で交換できないのが難点です。
洗面台
洗面台もオリジナル製品です。
収納力が売りです。
一般的な洗面台の3倍ぐらい収納スペースがあります。
化粧品とかドライヤーとか、洗面台ってなにかとモノがあふれがち。
これだけ収納があれば安心です!
一条工務店の【収納】
生活スタイルにもぬかりないのが、一条工務店です。
せっかくの収納ですから、無駄のないスペースにしたいですよね。
一条工務店の収納は手持ちのモノに合わせて、いろんな形状の収納を選ぶことが出来ます。
自分たちに合った収納スペースは、生活のプチストレスをなくしてくれます。
一条工務店の保証とアフターサービス
標準仕様とは少し話がそれますが、おまけでこの辺も記載しときます。
保証とアフターサービスは可もなく不可もなく、他社と足並みを揃えている印象です。
保証
保証は、下記図が分かりやすいです。
構造耐力上主要な部分 → 30年保証
ここに関しては、大手ハウスメーカーとしては一般的な保証期間です。
雨水の侵入を防止する部分 → 10年
延長できるとは言え、ここは最低限の保証期間ですね。
その他の保証期間についても、一般的な保証期間と言えます。
アフターサービス
家は建てて終わりではなく、住み始めてからが本番です。
住み始めると多少の不具合も起こるので、アフターサービスは家の質と同レベルの水準でチェックしてください。
一条工務店のアフターサービスは大手らしく、『iサポ』というスマホアプリで下記のようなことが出来ます。
サポート窓口って繋がりにくかったり、いろんなところに電話でたらい回しにされる印象があります。
しかし一条工務店は、不具合箇所をスマホで撮影してそのまま送信してアフターメンテナンスを依頼できます。
定期点検
一条工務店の定期点検ペースは、ホームページに記載がありませんでした。
インターネットで調査していると10年点検と20年点検があるという情報がありましたが、正確かどうかは分かりません。
もしそれが本当だとしたら、かなり心細い点検ペースです。
一条工務店を前向きに検討している方は、各店舗に直接確認してください。
メンテナンス
メンテナンスに関しては、かなり魅力的な内容が記載されていました。
シロアリ予防工事の無償実施です。
通常、シロアリ予防工事は5年おき〜10年おきに施工が必要です。
1度にかかる費用は10万円〜20万円が相場。
一条工務店はそのシロアリ予防工事を、なんと10年目以降無償で実施してくれます。
一条工務店の【オプション】
ザーッと標準仕様を解説してきました。
ここからはおまけで、代表的なオプションを紹介します。
追加費用になる部分ですね。
ベタ基礎
これがオプションなのは、個人的には辛いです。
いくら耐震的に大丈夫と言われても、家の下はやはりコンクリートで覆われていてほしいです。
以下、布基礎とベタ基礎の違いです。
オールマイティに活躍してくれるのがベタ基礎ってイメージでOKです。
太陽光
全館床暖房のみを採用したら電気代はとんでもないことになります。
なので太陽光も標準にしてほしいですが、オプションです。
ホームページだと標準っぽいんですが、標準じゃないそうです。
何かのキャンペーンで太陽光が無料とかだと、ラッキーって感じです。
網戸
一条工務店は標準だと網戸がついていません。
驚かれる方も結構います。
理屈としては、
熱交換換気システムがついてるから、窓を開けて換気することなんてないでしょ
てことです。
これに納得できる方なら、網戸は必要ないです。
とはいえ、涼しいときは気持ち良い自然の風を感じたい!
という方は、オプションで網戸を付ける必要があります。
照明
これはほとんどの会社がオプションというか、別途金額です。
一条工務店ももれなく、照明工事は別料金となります。
カーテン
一条工務店はハニカムシェードという、断熱性のあるレースカーテンみたいなものを標準装備しています。
断熱性という面では良いのですが、これだけだと夜は外から家の中が丸見えだそうです。
ということで、カーテンも必須なので、ここは別途料金がかかります。
一条工務店の標準仕様まとめ(グラン・スマートとアイ・スマート編)
住宅会社の標準仕様は、その会社の考え方が詰まっています。
一条工務店のキャッチコピーは『家は、性能。』です。
それがしっかり伝わってくる、断熱性と暖かさに特化した標準仕様でした。
基礎や屋根材は少し残念にも思えますが、全てを最高級仕様にすれば家の価格はどんどん上がっていってしまいます。
なので性能特化という面では、良く出来た標準仕様です。
その他、もっと詳しく知りたいという方は実際に展示場に足を運んでみることをオススメします。