今現在、急激な人気上昇を誇るアイ工務店と一条工務店。
この2社は、家づくりの考え方が全く違います。
アイ工務店の坪単価は60〜70万円。
価格以上のものを提供してくれます。
デザインも洗練されており、オシャレな家が多いです。
一条工務店は、坪単価60万円〜80万円。
性能に超特化しています。
この価格であの性能は、他社はどう頑張っても勝てないというレベルでコスパが良いです。
改めてまとめます。
- デザイン力が高く、標準仕様が豪華なアイ工務店。
- 性能に超特化した一条工務店。
どちらがあなたに向いているか、この記事を読めば分かります。
4年間住宅業界で働いている私が、プロ目線で解説します!
細かく解説しているので、コーヒー休憩でもはさみながら読んでください。
下記目次タップで、知りたいところだけチェックもできます。
※一条工務店に関しては商品が複数あります。中でも今回は、フラッグシップ商品であるアイ・スマートの標準仕様とアイ工務店の標準仕様の比較でお届けします。
断熱性能・気密性能
まずは、一条工務店の得意分野から見ていきましょう。
- 断熱性・気密性のための施工方法
- 実際の性能値
この2点を、詳しく解説します。
断熱材
アイ工務店と一条工務店の断熱材は両社とも、基本的にウレタンフォームを採用しています。
ですから、断熱材自体に2社で特段差が出ることはないです。
その代わりに大きく違うのは、断熱材の厚み。
2社の断熱材仕様をまとめました。
一条工務店はダブル断熱なので、全箇所に置いてアイ工務店を大きく上回る厚みです。
断熱材は厚みだけを見てはいけない
アイ工務店は屋根断熱。一条工務店は、天井断熱です。
基本的には、下記3点の理由から屋根断熱の方がオススメです。
- 断熱材の厚みを損失することがない
- 小屋裏に熱がこもらないので、家が傷みにくい
- 熱くならないため、小屋裏を有効活用しやすい
一条工務店の天井断熱は、配管等の都合上表記されている厚みが取れてない箇所があります。
断熱性に大きく影響があるわけではありませんが、気にはなりますよね。
ただ、今回はそれを差し置いてもアイ工務店を大きく上回る断熱仕様です。
サッシ
アイ工務店と一条工務店のサッシは以下の通り。
とは言っても上記では分かりにくいので、表にまとめました。
現代の家のサッシに必要な性能を、表の左に並べています。
パッと見で、一条工務店のサッシの方が優れていることが分かります。
もっと言うなら、一条工務店はペアガラスより優れたトリプルサッシです。
サッシは一条工務店を評価します。
Ua値
Ua値 = 外皮平均熱貫流率
この数値が低いほど外部へ熱が逃げにくいです。
冷暖房が効きやすく、省エネなお家になります。
アイ工務店と一条工務店のUa値は以下の通り。
- アイ工務店 → 0.46(W/㎡・K)
- 一条工務店 → 0.25(W/㎡・K)
決してアイ工務店のUa値がショボいわけではありませんが、一条工務店のUa値が飛び抜けすぎています。
やはり、ダブル断熱は最強ですね。
C値
C値 = 隙間相当面積(気密性)
この数値が低いほど家全体にある隙間が小さいです。
空気が漏れにくくなるので、冷暖房が効きやすくなります。
アイ工務店と一条工務店のC値は以下の通り。
- アイ工務店 → 0.4(c㎡/㎡)
- 一条工務店 → 0.59(c㎡/㎡)
アイ工務店の0.4という数値は、かなり優秀です。
補足しておくと、アイ工務店はモデルハウスの測定数値で、一条工務店は平均実測値です。
公表値としては、アイ工務店の方が上です。
建築工法
性能面はさすがに一条工務店が圧倒的でした。
ここからは
- 耐震性
- 耐風性
- 耐久性
などに関わる構造部分と建築工法について比較してきます。
基礎構造
アイ工務店と一条工務店の基礎構造は以下の通り。
- アイ工務店 → ベタ基礎
- 一条工務店 → 布基礎
強度、シロアリの侵入のしにくさという観点から、基礎構造はベタ基礎が好ましいです。
基礎構造は、アイ工務店を評価します。
建物構造
アイ工務店と一条工務店は、とてもよく似た構造をしています。
どちらの会社も柱と梁にパネルを貼り付けたモノコックという、箱のような構造。
現代では主流な構造で、しっかり地震や台風に耐えてくれます。
構造としては、優劣をつけるほどの差はありません。
耐震等級
耐震等級は大きく差が出ました。
- アイ工務店 → 耐震等級3相当
- 一条工務店 → 耐震等級3
耐震等級3は、認定が必要です。
アイ工務店は耐震設計診断システムを使っているのに、耐震等級3相当。
せっかくその強度があるなら、耐震等級3の認定までを標準仕様にしてほしいです。
認定を取れば、地震保険も安くなりますからね!
耐震等級3の一条工務店を評価します。
制震ダンパー
制震ダンパーを取り付けている家は、揺れと建物のダメージがかなり軽減されます。
アイ工務店と一条工務店の制震ダンパー仕様は、以下の通り。
アイ工務店 → 制震ダンパー標準搭載
一条工務店 → 制震ダンパーの取付不可
一条工務店は、制震の代わりに免震というオプションがあります。
制震よりさらに高性能な地震対策ですが、数百万円かかるオプションでコスパが良くないです。
お財布に優しくないですよね。。。
制震ダンパーが標準装備のアイ工務店を評価します。
防蟻処理
構造がいくら強くても、そもそも柱がシロアリに食われていたら本末転倒です。
下記は、アイ工務店と一条工務店のホームページに記載されていた防蟻処理方法。
アイ工務店 → 基礎下に防湿・防蟻シートを敷くことにより、物理的にシロアリの侵入を防いでいる
一条工務店 → 床下と1階の構造ほぼ全てに薬剤を浸透させている
一条工務店の薬剤は木材に完全に浸透していて、半永久的に効果があります。
メンテナンスが必要なく、ランニングコストに優れています。
アイ工務店を検討の方は、実際に展示場に足を運んで確認することをオススメします。
ジャッジは引き分けとします。
システム
アイ工務店と一条工務店は、お互いコンセプトを持った家づくりをしています。
考え方が違えば家づくりの方針も変わり、家に搭載するシステムも変わります。
それぞれの家のシステムを確認します。
熱交換型換気システム
現代の家は、窓を開けて換気するという考え方ではありません。
せっかく冷やしたり温めたりした空気を逃さないよう、機械で換気します。
ところで、ヤマト住建と一条工務店の熱交換型換気システムの性能は以下の通り。
- アイ工務店 → 熱交換率75%
- 一条工務店 → 熱交換率90%
熱交換率は、数字が大きいほど熱を損失しにくいです。
一条工務店の熱交換換気システムの場合、
外気7℃で室内温度20℃のとき、18.7℃の空気を取り込む
といった具合です。
換気されているのに寒くないし、エアコンもかなり省エネ化出来ます。
太陽光
近年は電気代が上昇しており、昼間の電気代を削減する動きが盛んです。
したがって、太陽光に注目が集まっています。
アイ工務店と一条工務店の太陽光は下記の通り。
アイ工務店 → メーカーから仕入れた太陽光を採用することができる
一条工務店 → 自社製品の太陽光パネル。屋根いっぱいに載せられるのが特徴。
どちらの会社も太陽光パネルはオプションで、パネル自体の性能も大きくは変わりません。
しかし、自社製品で屋根いっぱいに載せられるという点で、一条工務店の方がたくさん発電することが出来ます。
仕様
- 家の外装
- 家の内装
- 間取りの自由度
つまり、家の見た目や質感に関する部分です。
アイ工務店の得意分野!
比較、解説していきます。
外壁材
アイ工務店と一条工務店の外壁仕様は下記の通り。
アイ工務店 → サイディング(約30年)
一条工務店 → タイル(タイル部分は半永久/部分的に30年)
※()内はメンテナンス時期です。
サイディングはコスパに優れます。
対してタイルは、メンテナンスフリーかつ見た目がカッコいいです。
一条工務店はタイルが自社商品である手前、その外観を見るだけで
あ、一条工務店の家だ
となってしまうという点はあります。
が、実用的な優劣をつけると一条工務店を評価します。
屋根材
アイ工務店と一条工務店の屋根材仕様は下記の通り。
屋根材の基本的なメンテナンス周期は以下の通り。
- 瓦 → 半永久的
- ガルバリウム → 30年毎
- パラペット → 30年毎
- スレート → 20年毎
メンテナンスフリーである瓦を標準仕様にしているアイ工務店を、評価します。
外観
先ほどの壁材と瓦材を採用して建築した外観が、それぞれ下記の通りです。
アイ工務店はスタイリッシュで、周りからも羨ましがられそうなカッコいい佇まいです。
対して一条工務店は、良くも悪くも『一条工務店』です。
一条工務店はできるだけ家の形を単純化することで、空気の漏れや熱の出入りを軽減しています。
見た目は最優先ではないのが一条工務店なのです。
外観の選択肢の幅がアイ工務店の方が多いため、アイ工務店を評価します。
内装
居心地は性能だけでは決まりません。
家の中のデザインや雰囲気も大切です。
一例ではありますが、アイ工務店と一条工務店の内装を並べました。
一条工務店は、内装も基本的には選択できる商品が決まっています。
なので、一条工務店を知っていると
どこか一条っぽい
という印象を受けます。
対してアイ工務店は幅広い商品から内装を選べるし、デザイン性の高い家が多いです。
間取り
アイ工務店と一条工務店は、家を作る順序が違います。
アイ工務店 → 現場で柱から組み立てる
一条工務店 → 工場で壁パネルにして、それを現場で組み立てる
工場で壁パネルにしてしまう一条工務店は、複雑な間取りに対応できません。
パズルのように部屋を配置するのみです。
対してアイ工務店は構造が許す限り、自由な間取りを実現できます。
保証内容
家は建てて終わりではありません。
むしろ住みだしてからの方が不具合がある可能性が高いし、メンテナンスが必要です。
下記が、アイ工務店と一条工務店の保証内容です。
これだけでは見にくいので、次の章で表にまとめてます。
保証内容を表にした
保証内容は一長一短あるので、完璧に比較することは出来ません。
なので今回は、家の劣化を急激に早めることになる以下の3つにフォーカスします。
延長するとすべて30年保証に出来ますが、標準で比較します。
アイ工務店 → 20+20+20=60年
一条工務店 → 30年+15年+30年=75年
標準の年数を足し算すると、一条工務店の方が15年長いです。
保証内容は一条工務店を評価します。
総合
最後に、2社の『○』の数を集計しました。
アイ工務店は、デザイン面や間取りの対応力が優れていました。
一条工務店は、性能面やシステム系が優れていました。
予想通りって人も多いはず。
改めてまとめると以下の通り。
性能だけでは満足できない、デザイン性の高い家を手に入れたい → アイ工務店
とにかく安定して性能の高い住宅を手に入れたい → 一条工務店
皆さんはこれを見た上でどっちが気に入りましたか?
私の完全主観では、一定以上の性能がある上で内装や外装、それから間取りを楽しめるアイ工務店が好きです。
さらに詳しく知りたい方へ
さらに詳しく知りたい!
その場合は実際に展示場を見に行き、営業マンから直接話を聞くのが早いです。
全て『なるほど』とうなずいていては、いいカモになってしまいます。
そうならないためには
- 資料請求をして勉強する
- 相談カウンターに行って勉強する
といった方法がオススメです。
このあたりはまた解説記事を執筆します!